BLOG 美術探訪
2025.12.22
清宮質文が描いた静寂の風景~静けさの中に宿る祈り~
清宮質文(1917-1991)は戦後日本の木版画界を代表する作家の一人です。
画家・清宮彬の息子として、東京に生まれました。
東京美術学校(現・東京藝術大学)では油彩画を学び、戦前後には学校で美術の教師として活動します。
1953年ころから画業に専念するようになり、以降、本格的に版画やガラス絵を制作しました。

第二次世界大戦後、日本の美術界では「創作版画運動」が再び盛り上がりを見せ
棟方志功、浜口陽三、駒井哲郎、池田満寿夫らがそれぞれの技法を追求し
棟方志功は宗教的な生命の躍動を描いたのに対し、清宮は静止と沈黙の美に焦点を当てました。
また駒井哲郎が西洋のシュルレアリスム的世界観を取り入れたのに対し
清宮は「日本的詩情」に根ざした情感を重んじています。
清宮が描く作品は、都会の片隅や廃墟、樹木や鳥などを題材からは哀愁を感じさせ
戦中体験や戦後の荒廃した社会背景の中で、「静けさ」や「孤独」をテーマにした詩的な世界観を確立しました。
描かれた対象は単純化されることが多く、抽象と具象の中間のような構図を用い
黒と灰色を基調とした静謐な色調と相まって、「木版の詩人」とも呼ばれています。
その作品は、見る者に「静けさの中にある強さ」を感じさせ、時代を超えて多くのファンを魅了し続けています。
彼の代表作には、《木のある道》《鳥と窓》《記憶の風景》《風景の中の樹》などがあり
いずれも沈黙と余白、時の止まりを感じさせる構図が特徴です。
建物や樹木といったシンプルなモチーフに、幾何学的な要素を取り入れながら
心象風景を表現するスタイルは、国内外で高く評価されています。
とりわけ晩年の作品では、色彩をわずかに導入した木版画も増え
モノトーンの世界から浮かび上がるわずかな温もりが、深い余韻を生み出しています。

市場においても、清宮質文の作品は一定の評価を保っており、特に保存状態の良好な作品や
有名なモチーフを扱った版画は、20万円〜50万円前後で取引されることが多く
希少性の高い初期作品や、サイン入り・限定部数の少ない木版画は80万円を超える価格で落札されるケースもあります。
また、展覧会出品歴がある作品や、ギャラリーシール付きの作品はさらに高い評価を受けやすい傾向があります。
ガラス絵や水彩などの一点物作品に関しては、木版画よりも希少性が高く、数十万円から100万円超で取引されることもあります。
特に静謐な風景画や抽象に近い構図の作品は、近年再評価が進んでおり、美術館や現代アートコレクターからの関心も高まっています。
清宮質文の作品は、単なる視覚的な美しさにとどまらず、「時間」「記憶」「孤独」など、深い精神性を内包していることが魅力です。
そのため、アートファンだけでなく、文学や哲学、建築といった他分野の人々からも注目を集めてきました。
彼の作品を所蔵する美術館としては、東京国立近代美術館、町田市立国際版画美術館、和歌山県立近代美術館などがあり
その芸術的価値の高さが裏付けられています。

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「木版の詩人」と称された清宮質文。その静けさと余白の美は、現代においてますます貴重なものとなっています。
時代を超えて語りかけてくるその作品を、必要としている新たな持ち主へと橋渡しするのが私たちの役割です。
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