2026.10.26
シャガールの絵画買取・相場を徹底解説|愛と幻想を描いた巨匠の生涯、代表作品、リトグラフの価値とは

20世紀を代表する画家の一人、マルク・シャガール(Marc Chagall/1887年~1985年)。
鮮やかな色彩と幻想的な世界観、空を飛ぶ恋人たちや動物、花束、故郷の風景などを描いた作品は
現在も世界中の美術愛好家を魅了し続けています。
シャガールは「愛の画家」とも呼ばれ、幸福感に満ちた作品から、戦争や故郷への思いを表現した作品まで、幅広い主題を描き続けました。
その独特な芸術表現は、キュビスムやシュルレアリスムなどの影響を受けながらも
特定の美術運動に収まることのない独自の世界を築いています。
日本でも非常に人気の高い画家であり、油彩画や水彩画、リトグラフなどの作品が美術市場で流通しています。
一方で、シャガールは生涯を通じて数多くの版画作品を制作しているため
作品の種類や制作年代、技法、サインの有無などによって評価額が大きく異なる作家でもあります。
今回は、シャガールの生涯や代表作品、絵画の特徴を振り返りながら
現在の美術市場における相場、リトグラフの価値、高価買取につながるポイントについて詳しく解説します。
シャガールとは?20世紀を代表する「愛と幻想の画家」
ロシア帝国領ヴィテブスクに生まれた少年時代
マルク・シャガールは1887年7月7日、当時のロシア帝国領ヴィテブスク、現在のベラルーシに生まれました。
ユダヤ系の家庭に育ったシャガールにとって、故郷の街並みや人々の暮らし、宗教的な伝統、音楽などは、生涯を通じて重要な創作の源となりました。
シャガールの作品には、屋根の上に立つ人物、ヴァイオリンを弾く音楽家、牛や山羊などの動物、小さな村の家々が頻繁に登場します。
これらは単なる装飾的なモチーフではなく、幼少期の記憶や故郷への愛着、ユダヤ文化との深いつながりを象徴しています。
1906年頃から本格的に美術を学び始め、サンクトペテルブルクでの修業を経て、1911年には芸術の中心地であったパリへ渡ります。
パリで開花した独創的な芸術表現
20世紀初頭のパリは、ピカソやブラックを中心とするキュビスムをはじめ、新しい芸術表現が次々と生まれていた時代でした。
シャガールもこうした前衛芸術の影響を受けましたが、単に流行の様式を取り入れるのではなく
自身の記憶や感情、宗教観を融合させた独自の表現を確立していきます。
現実にはあり得ない空間に人物や動物を配置し、遠近法や重力にとらわれない自由な構図を用いることで
夢の中に入り込んだような幻想的な絵画を生み出しました。
シャガールの作品では、恋人たちが空を飛び、動物が人間のような表情を見せ、村の家々が不思議な角度で描かれています。
こうした表現は、後に発展するシュルレアリスムを思わせる部分もありますが、シャガールの作品は夢や無意識の表現だけでは説明できません。
故郷への郷愁、家族への愛情、宗教的な物語、人生の喜びと悲しみが一つの画面に重なり合っていることこそ、シャガール芸術の大きな特徴です。
シャガールが「愛の画家」と呼ばれる理由
妻ベラへの愛情を描いた作品
シャガールを語るうえで欠かせない存在が、最初の妻ベラ・ローゼンフェルトです。
二人は1915年に結婚し、ベラはシャガールの人生と芸術に大きな影響を与えました。
シャガールの作品には、抱き合う恋人たちや花束を持つ男女、空中に浮かぶ新郎新婦などが数多く登場します。
これらのモチーフには、ベラへの深い愛情が反映されていると考えられています。
代表作《誕生日》では、花束を持つ女性と、その女性に口づけするために宙を舞う男性が描かれています。
重力を無視した人物表現は、恋愛によって生まれる高揚感や幸福感を視覚的に表現したものとして知られています。
1944年にベラが亡くなった後も、恋人や花束はシャガール作品に繰り返し登場しました。
このように、愛情を人生の中心的なテーマとして描き続けたことから、シャガールは「愛の画家」と呼ばれるようになったのです。

幻想的な色彩に込められた感情
シャガール作品の魅力を語るうえで、色彩の美しさも欠かせません。
深く澄んだ青色、鮮やかな赤色、柔らかな黄色や緑色など、さまざまな色彩が画面全体を包み込むように配置されています。
特に青色を基調とした作品は人気が高く、夜空や夢、静けさ、神秘性を感じさせる独特の雰囲気があります。
また、赤色や黄色を大胆に使用した作品では、情熱や生命力、祝祭的な喜びが表現されています。
シャガールにとって色彩は、現実の風景を忠実に再現するためだけのものではありません。
感情や記憶、精神的な世界を表現するための重要な手段であり、その自由な色彩表現が作品の魅力を高めています。
シャガールの代表作品を詳しく紹介
シャガールは油彩画、水彩画、版画、ステンドグラス、舞台美術など、非常に幅広い分野で作品を制作しました。
ここでは、シャガールの芸術を理解するうえで重要な代表作品をご紹介します。
《私と村》1911年
《私と村(I and the Village)》は、シャガールの初期を代表する作品の一つです。
人間と動物が向かい合う独特な構図の中に、故郷ヴィテブスクの村の風景や農民たちの暮らしが描かれています。
画面には幾何学的な構成が取り入れられており、当時のキュビスムの影響を感じさせます。
一方で、人物や動物の配置にはシャガール独自の幻想的な感覚が表れており、故郷の記憶と前衛的な表現が融合した重要作品です。
現在はニューヨーク近代美術館に所蔵されています。
《誕生日》1915年
《誕生日(Birthday)》は、シャガールの愛情表現を象徴する作品です。
花束を持つベラに対し、シャガール自身を思わせる男性が空中に浮かびながら口づけする姿が描かれています。
室内という日常的な空間でありながら、人物が宙を舞うことで、現実と幻想が自然に共存する独特の世界が生み出されています。
恋愛の幸福感を視覚的に表現した、シャガールを代表する作品の一つです。
《散歩》1917~1918年
《散歩(The Promenade)》も、妻ベラへの愛情を表現した作品として知られています。
画面には地上に立つシャガール自身と、空高く舞い上がるベラの姿が描かれています。
恋人の手を握りながら幸福感に包まれる様子は、シャガール作品ならではの詩情豊かな表現です。
シャガールが描く「空を飛ぶ恋人たち」というモチーフを理解するうえでも、非常に重要な作品といえるでしょう。
《青いサーカス》1950年
シャガールはサーカスを題材とした作品も数多く制作しました。
《青いサーカス(Le Cirque bleu)》では、幻想的な青い空間の中に曲芸師や動物などが描かれ、夢と現実が交差するような世界が表現されています。
サーカスはシャガールにとって、人生の喜びや悲しみ、祝祭と孤独を象徴する重要なテーマでした。
そのため、サーカスや道化師、曲芸師を描いた作品は、美術市場でも注目されるモチーフの一つとなっています。

《ダフニスとクロエ》
《ダフニスとクロエ(Daphnis et Chloé)》は、古代ギリシャの恋愛物語を題材とした作品集です。
シャガールはこの物語のために色彩豊かなリトグラフを制作し、1961年に挿画本として刊行されました。
鮮やかな色彩と幻想的な構図が特徴であり、シャガールの版画芸術を代表する重要なシリーズです。
市場では、作品の種類、状態、版の違い、署名の有無、セットとしての完備性などが評価に影響します。

パリ・オペラ座の天井画
シャガールの代表的な公共芸術作品として知られるのが、パリのオペラ・ガルニエの天井画です。
1964年に完成したこの作品は、モーツァルトやワーグナー、チャイコフスキーなどの音楽家や、その作品世界への敬意を込めて制作されました。
華やかな色彩と躍動感に満ちた構図は、絵画と音楽が融合したシャガール芸術の集大成ともいえるでしょう。
シャガールの絵画・版画の相場はいくら?
シャガール作品の買取を検討する際、多くの方が気になるのが現在の市場相場です。
ただし、シャガールは非常に多作な画家であり、油彩画、水彩画、デッサン、リトグラフ、エッチング、挿画本、ポスターなど、作品の種類によって価格差があります。
同じシャガールの作品でも、数万円程度で流通するものから、数百万円、数千万円、さらには億円規模で評価される重要作品まで存在します。
油彩画の相場
シャガールの油彩画は一点物であり、版画と比較すると希少性が高い作品です。
特に初期作品や、恋人、花束、サーカス、故郷の風景などを描いた重要作品は、国際美術市場で高く評価される傾向があります。
大型作品や来歴の優れた作品では、数千万円から億円規模の取引となる場合もあります。
ただし、油彩画であっても制作年代やサイズ、モチーフ、保存状態などによって評価は大きく異なります。
「シャガールの油彩画だから必ず高額になる」というわけではなく、作品ごとの専門的な確認が必要です。
水彩画・グワッシュ・デッサンの相場
シャガールは油彩画だけでなく、水彩やグワッシュ、インクなどを用いた紙作品も数多く制作しました。
これらは一点物である場合が多く、人気モチーフや完成度の高い作品では高額な評価につながることがあります。
特に、恋人や花束、動物、サーカスなどシャガールらしいモチーフが描かれた作品は、コレクターからの需要が期待できます。
一方、習作や小品などでは評価が異なるため、技法や作品の完成度、来歴を含めた総合的な判断が重要です。
リトグラフの相場
シャガール作品の中で、国内でも比較的多く流通しているのがリトグラフです。
リトグラフとは、石版画の原理を利用した版画技法であり、シャガールはその表現力を生かして数多くの作品を制作しました。
市場では、署名のない挿画や印刷物が数万円以下で取引される場合もあれば、直筆サイン入りの限定版画が数十万円から100万円以上の評価となる場合もあります。
さらに、人気図柄や希少な作品では、それを大きく上回る取引が見られます。
例えば、2025年12月のオークションでは、1969年制作の署名入りリトグラフ《The Dream of Paris》が20,300ユーロで落札されています。
また、1972年制作の署名入りカラーリトグラフ《Le Petit Cheval》は、2025年12月に5,200ユーロで落札されました。
※これらは公開オークションにおける取引例であり、日本国内の買取価格を直接示すものではありません。実際の買取査定では、販売経費や市場での需要、作品状態などを考慮するため、落札価格と査定額は異なります。
シャガールのリトグラフが高く評価される理由
シャガールは版画を単なる絵画の複製手段としてではなく、独立した芸術表現として積極的に取り組みました。
特に色彩豊かなリトグラフは、シャガール特有の幻想的な世界を表現するうえで重要な役割を果たしています。
また、版画作品は油彩画と比較して購入しやすい価格帯のものもあるため、幅広いコレクターから支持されています。
ただし、すべてのリトグラフが同じ価値を持つわけではありません。
直筆サイン入りの限定版画と、書籍に収録された挿画、展覧会ポスター、複製印刷などでは市場価値が大きく異なります。
そのため、作品の技法や発行形態を正確に確認することが重要です。

シャガール作品を高価買取してもらうためのポイント
① 作品の技法を確認する
シャガール作品の査定では、油彩画、水彩画、グワッシュ、リトグラフ、エッチングなど、どの技法で制作された作品なのかを確認します。
特に版画の場合、オリジナル版画と複製画を区別することが重要です。
見た目が似ていても、制作方法によって市場評価が大きく変わるため、専門的な確認が必要になります。
② 直筆サインの有無
シャガールの版画作品では、直筆サインの有無が査定額に影響することがあります。
ただし、サインがあるからといって必ず真作であるとは限りません。
また、サインが印刷された作品や、直筆サインのない正規の版画作品も存在します。
そのため、サインだけで真贋や価値を判断せず、技法や発行情報なども含めて確認することが重要です。
③ エディション番号と希少性
限定版画では、エディション番号も重要な確認項目です。
例えば「25/75」と記載されている場合、通常は75部の限定部数のうち25番目の作品であることを示します。
ただし、番号が若いからといって必ず高額になるわけではありません。
市場評価には限定部数全体の希少性や作品の人気、状態などが影響します。
④ 人気の高いモチーフ
シャガール作品では、恋人、花束、サーカス、動物、ヴァイオリン弾き、パリの街並みなどが代表的なモチーフとして知られています。
特にシャガールらしい幻想的な構図や鮮やかな色彩が表現された作品は、コレクターから関心を集めやすい傾向があります。
ただし、人気モチーフであることだけで査定額が決まるわけではなく、作品の制作年代や技法、希少性なども重要です。
⑤ 保存状態
作品の保存状態も査定に影響します。
油彩画では絵具の剥落、亀裂、キャンバスの変形、修復歴などが確認されます。
版画や水彩画などの紙作品では、日焼け、シミ、退色、カビ、紙の波打ちなどが重要なポイントです。
特にシャガール作品は色彩表現が魅力の一つであるため、鮮やかな色が良好に保たれているかどうかも確認されます。
⑥ 購入時の資料や来歴
作品を購入した画廊の保証書、領収書、展覧会図録、作品集掲載情報などが残っている場合は、査定時に一緒に提示することをおすすめします。
作品の来歴が明確であることは、真贋確認や市場評価を行ううえで重要な要素となります。
特に高額な油彩画や水彩画などでは、専門機関による確認や鑑定資料が必要になる場合もあります。
シャガールの版画と複製画を見分けるには?
シャガール作品を売却する際、注意したいのがオリジナル版画と複製画の違いです。
シャガールの作品は世界的に人気が高いため、展覧会ポスターや複製印刷なども数多く制作されています。
例えば、リトグラフとして制作された作品と、油彩画を印刷技術で再現した複製画では、見た目が似ていても制作方法が異なります。
また、シャガールの原画をもとに、別の版画家や工房が制作した作品も存在します。
そのため、作品に「リトグラフ」と記載されている場合でも、制作方法や発行元、カタログへの掲載状況などを確認する必要があります。
真贋や技法が分からない場合は、無理に額装を外したり、作品の表面を触ったりせず、専門業者へ相談することをおすすめします。
シャガール作品の価値は今後どうなる?
シャガールは1985年に亡くなりましたが、現在も20世紀美術を代表する画家として世界的な評価を維持しています。
ニューヨーク近代美術館をはじめ、世界各地の主要美術館に作品が収蔵されており、美術史における重要性は広く認められています。
また、シャガールは絵画だけでなく、ステンドグラスや公共施設の装飾、舞台美術など幅広い分野で功績を残しました。
こうした芸術的な実績は、作品の長期的な評価を考えるうえで重要な要素です。
一方で、美術品の価格は市場環境やコレクター需要、作品の流通状況などによって変動します。
したがって、シャガール作品の価格が今後必ず上昇すると断定することはできません。
売却を検討する際は、過去の購入価格や一般的な相場だけで判断するのではなく、現在の市場動向を踏まえた査定を受けることが重要です。
シャガール作品の買取はミライカ美術へおまかせください
ミライカ美術では、マルク・シャガールの絵画・版画の買取を強化しております。
シャガールは日本国内でも人気が高い画家ですが、油彩画や水彩画、リトグラフなど作品の種類によって市場価値が大きく異なります。
そのため、作家名だけで一律に評価するのではなく、作品の制作年代、技法、モチーフ、サイズ、保存状態、来歴などを総合的に確認することが重要です。
ミライカ美術では、東京店・大阪店・福岡店を拠点に、全国から美術品の査定・買取に関するご相談を承っております。
「昔購入したシャガールの版画があるけれど、現在の価値が分からない」
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「シャガールのリトグラフをできるだけ高く売却したい」
このような場合も、まずはお気軽にお問い合わせください。
作品の写真を送るだけで相談できるLINE査定をはじめ、店頭買取、出張買取、宅配買取など、ご事情に合わせた査定方法をご案内しております。
シャガール作品の売却では、適切な評価を受けることが何より大切です。
大切にされてきた作品だからこそ、その芸術的な魅力や市場価値を丁寧に確認し、ご納得いただけるお取引につなげられるよう努めております。
まとめ|愛と幻想を描き続けたシャガールの芸術
マルク・シャガールは、故郷ヴィテブスクへの思い、家族への愛情、ユダヤ文化、宗教的な物語などを題材に、独自の幻想的な世界を描き続けた画家です。
恋人たちが空を飛び、動物が語りかけ、花束が鮮やかな色彩に包まれるシャガールの作品には、現実の世界だけでは表現できない豊かな感情が込められています。
その芸術は油彩画だけにとどまらず、水彩画、リトグラフ、ステンドグラス、舞台美術など多彩な分野へ広がり、現在も世界中の人々を魅了しています。
美術市場においてもシャガールは重要な作家の一人ですが、作品の価値は技法や制作年代、モチーフ、保存状態などによって大きく異なります。
特にリトグラフについては、直筆サイン入りの限定版画、挿画、ポスター、複製画などを正しく区別することが重要です。
シャガールの絵画や版画の売却をご検討の際は、作品の特徴や市場価値を理解した専門業者へ相談することをおすすめします。
ミライカ美術では、シャガール作品の魅力を大切にしながら、一点一点丁寧に査定いたします。
絵画や版画の買取をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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