BLOG 美術探訪
2022.03.03
ただの円じゃない◆吉原治良◆
皆様こんにちは。
ミライカ美術の田中です。
世の中は円で出来ている物って多いですよね
地球や太陽のような天体、身近な所ならタイヤやボールなど
ミクロの世界なら分子や原子、まさに自然の法則の根源のような形が円です。
今日紹介するのは
その形に挑み続けた画家、吉原治良です。
吉原治良は1905年大阪府生まれの戦後関西を代表する芸術運動「具体美術協会」の創始者です。
藤田嗣治のもとを訪問するが
「他の画家の影響がありすぎる」と酷評され
「人のまねはするな」という具体アートのモットーが生まれるきっかけになります。
1930年代に家業と並行し画業を続けながら評価を得て
前衛画家としての地位を確立します。
戦後の抽象美術の隆盛のなか
1954年に自身が代表となって阪神在住の若手作家17名で「具体美術協会」を結成。
展覧会を定期開催するほか
機関紙『具体』を創刊するなど精力的に活動しました。
吉原治良自身は初期こそシュルレアリスムの影響が見られたが
のちに荒々しい筆致の抽象画に変化。
1930年代後半から抽象絵画を描いていたのですが
1960年代からは一貫して「円」をモチーフとした作品を手がけるようになります。
関西の画家たちはその手がかりを書に求め
なかでも吉原治良は余白と線との関係に着想を得て
直線や曲線で構成された抽象絵画を描き続けました。
その後、吉原治良は「円」という単純な形態が無限の表情を内包していることに魅せられました。
それまでの「線」の探求を活かし
輪郭を縁取った「円」を描き続けるようになります。
彼にとって「円」は宗教的な意味を持つものではなく
地と図の造形的な関係を追求するためのモチーフだったそうです。
油絵具が大胆に隆起したマチエールが特徴となる作品を経て
筆跡がわからないほど丁寧に描かれた円を多く描き続け
信念を貫き1972年に永眠されました。
永遠の終わらない輪廻のような神秘の円
答えが出ない奇跡の形ですよね。
その形に挑み、彼なりの答えが出せたからこそ現在もこれほど評価が高いのだと思います。
ミライカ美術では東京店・福岡店より今後大注目の吉原治良の作品を高値相場で買取査定しております。
是非お気軽にお問合せ下さい。