BLOG 美術探訪
2023.11.21
空間の概念を作り出したアーティスト◆ルチオ・フォンタナ◆
みなさまこんにちは。
ミライカ美術の岩永です。
博物館浴という言葉をご存じでしょうか?
森の中を散歩して心の安らぎを得る森林浴のように
博物館や美術館を巡り作品鑑賞を行ってメンタルヘルスケアに役立てようというものです。
その他にも資料館、動植物園、水族館といった場所も当てはまるでしょう。
博物館浴はイギリスをはじめ、欧米諸国で注目されて研究されています。
ある研究結果によると、リラックス効果に影響があったと報告されています。
日本でも注目されつつあり、いくつかの機関や大学が、研究を始めています。
それまでの博物館や美術館の役割と言えば
落ち着いた空間で知的な刺激を受ける場所と考えられていましたが
それだけでなく、心の健康や幸福感を満たす空間としても価値を見直されています。
さて空間の話題繋がりで、美術作品で空間の概念を表現した空間主義の創始とも呼ばれている
ルチオ・フォンタナ(Lucio Fontana)をご紹介します。
ルチオ・フォンタナ(1899-1968)は、20世紀に活躍したイタリア人のアーティストです。
生まれはアルゼンチンですが、イタリアとアルゼンチンの移住を繰り返します。
幼少のころ、建築の仕事をしていた父と一緒にイタリアに移住し
専門学校で美術・建築を学んで建築家として父の工房の手助けをします。
第二次世界大戦から逃れるためにアルゼンチンに移住していた
ルチオ・フォンタナは学校を設立。
その教え子と共に1946年に建築・彫刻・絵画を融合、発展させ
新たな芸術を構成すべきという「白い宣言」を発表。
戦争後イタリアに戻り、破壊された都市を再建すべく建物の装飾に努めます。
彼自身、人生の多くは彫刻作品を制作していました。
同じころ、宇宙という空間に興味を持っていたルチオ・フォンタナは「空間主義宣言」を発表。
この前衛的な芸術運動は「何かが見えるところには、どこにでも空間が存在する」として
平面上のキャンバスにナイフで切れ目を入れ空間を表現。
彫刻作品でも穴を開けるなどして建築・彫刻・絵画の融合を表現しています。
同時期に絵画の世界で展開されていたアンフォルメル(抽象絵画)運動と共鳴して
その後にレアリスムなどの前衛的運動にも影響を与え
多くのアーティストに影響を与えたルチオ・フォンタナは
20世紀における重要なアーティストの一人として数えられています。
一時期、ファシスト政権のための建物やムッソリーニの銅像を作っていたために
名声に傷をつけていた時期もありましたが、近年その評価は上がってきています。
ルチオ・フォンタナは現在注目の現代アート作家で
今後の相場上昇も期待出来る為、ミライカ美術では高価買取価格にて査定しております。