BLOG 美術探訪
2020.05.18
みんなの知らない絵本の世界
皆様こんにちは。ミライカ美術の田中です。
私は勿論、成人ですが、皆様、最近絵本とか読んだ事ありますか?
普通の生活をしていたらなかなか触れる機会がないですよね、私も子供が出来、読み聞かせをするようになり、久しぶりに絵本を読むようになりました。
絵本って意外と高いですよね。ですから家の近くの図書館なら1度で10冊まで借りられるので重宝しています。そこに、なんとも異様と言いますか、何か蠢くと言いますか、凄い色彩の絵本が有ったのです。娘は拒絶しちゃいましたが(笑)
その名はスズキコージ。先生の絵本は自由奔放、画面いっぱいを埋め尽くす彩色。遊び心とユーモアに溢れています。個人的な感想だと古代文明のレリーフのような絵柄なのです。 一度みたら忘れられない絵柄です。
興味を持ち調べてみると1948年生まれ、子供ころお父さんに買ってもらったクレヨンが大好きで、絵日記など常にクレヨンで描いていたそうです。好きすぎて各鼻の穴に一本ずつクレヨンをつっこんで寝ていたそうです。
その後芸大に落ち、本の挿絵などイラストレーターになります。それでも芽が出ず、アニメの背景などの仕事に就くも、個性が強すぎると断られ、非常に貧しい生活に追いやられたそうです。転機は知り合いの方が絵本をだしてみては?最初は全然絵本も売れませんでした。
1989年にやまのディスコ(くまさんが森でディスコを始めます。蜂の巣をミラーボールとして使い、お客様が皆刺され、倒産する物語)が絵本にっぽん賞受賞でスズキコージ先生の名は一躍有名になりました。
1996年には日本の絵本に革命をもたらしたと言われるサルビルサを製作。(たった4つの言葉くらいしか出てこない、民族同士の争いの物語、言葉はほぼ無くてもあまりに絵が雄弁に語り、物語が成り立っている)子供の視点からみるとやはり戦争ってよくないなーと思わせる絵本。
その後、数々の絵本は人気を呼び、大人や子供にも多くのファンが出来ました。今では絵本作家として十分食べて行けるようになりました。
そして彼のもう一つの顔はストリートアーティストです。野外で200号ほどの絵を3日かけライブペインティングで描きます。しかも素手で、、、彼の製作には音楽が欠かせないので、楽団を率いて描きます。
最初は漠然と、大まかな構図ですが、時間が経つごとにドンドン絵柄は具体的になり、見事なファンタジックでユーモラスな絵が完成します。
スズキコージ先生は野外で絵を描くのは一人でも多くの人に自身の絵を見て欲しいとの思いと、見ている方、楽団などみんなで製作したいという優しい気持ちに溢れています。絵柄をみれば先生がどれだけ個性的な方で優しく、温かい方なのか見て取れます。
しかし、先生は非常に高齢で片目は殆ど見えず、もう一つの目も視力が落ちてきているそうです。それでも描く事を今でも全く止めない不屈の絵本作家スズキコージ。
是非みなさん機会があれば先生の絵本を一度手に取って見てください。皆様の第一声が気になります。今回は絵本作家のお話でしたが、多くの著名の画家も数々の苦難を乗り越え名作を生み出してきた方ばかりです。
そういった魂のこもった名作を弊社も次の世代に受け継げるよう日々努力していきます。今後ともミライカ美術をよろしくお願い致します。